2020年5月25日月曜日

企画展「教誨師」の活動

待ちに待った開館です。博物館開館以来、こんなに長く博物館を休館してたことはなく
本来ならば、4月29日からご覧頂くはずの企画展でしたが、やっと皆様に今企画展「教誨師の活動」展をご紹介できます。教誨とは、教え諭すという意味であり、日本の刑務所で受刑者に対して道徳心、道義心の育成を目的とした教育を行うことです。その教育を施す人を教誨師といいます。教誨師は現在ボランテイアで受刑者に教誨を施されています。主に宗教家の先生たちです。では、その教誨の起源はいつから始まり、どのような変遷を辿って現在の状態になったのかを文献や写真とともに紹介いたします。ぜひ、ご来館の際は歴史館1階の企画展コーナーでご覧ください。

2020年5月24日日曜日

博物館網走監獄は5月25日より開館します。

博物館網走監獄は、北海道からの新型コロナウイルス蔓延防止対策としての休業要請により4月18日より臨時休館を続けていましたが、5月22日、北海道より休業要請の一部緩和が発表となり、北海道内のすべての博物館美術館図書館は5月25日を以て休業要請が解除となりました。
博物館網走監獄は、5月25日より開館を再開いたします。
今後は、新型コロナウイルス蔓延防止対策として、以下の取り組みを行います。
  1. 入館時にはマスクの着用をお願いいたします。また職員もマスクを着用し業務を行います。受付等一部の業務は、相互の感染予防のためゴム手袋を着用する場合があります。
  2. 見学中はマスクの着用に加え、咳エチケットにご協力ください。
  3. 熱や倦怠感、息苦しさ、味覚・嗅覚の異常などの症状がある場合は入館をお控えください。
  4. 館内各所に手指用消毒液を設置しております。ご利用ください。
  5. 館内及び展示建造物ご見学の際には、他のお客様との間に十分な距離をとっていただくとともに、混雑時は譲り合ってのご見学・ご協力をお願いいたします。

なお、他のお客様に著しく不安を与えるような言動・行為が確認された場合は、入館・見学をお断りさせていただきます。

併せて館内展示におきましては、

  1. ハンズオン展示(囚人服着用体験、足枷体験等)を使用中止、撤去しています。
  2. 映像展示(歴史館「赫い囚徒の森」、庁舎「天国は語る」等)は、三密な状態にならないよう映像視聴位置の椅子の数、またフットマークを設置しています。
  3. 館内ガイドツアーは、休止しています。

財団直営の『ミュージアムショップ』『監獄食堂』は、以下の通りの対策を行っています。

  1. カウンター部分には、ビニールカーテン、アクリルシールドを設置しています。
  2. 監獄食堂席数は、混雑状態を避けるため通常の二分の一、30席に減少しています。
  3. 庁舎ミュージアムショップ併設の休憩コーナーも席数を減少しています。

全てのお客様が安心して館内をご見学いただけるよう、上記内容にご理解とご協力をお願いいたします。

The Museum Abashiri Prison will open again from May 25th.


We will take the following measures to prevent the spread of COVID-19.
  1. Please wear a mask when entering the museum. Museum staff also wear masks to carry out their work. Some operations such as reception may wear rubber gloves to prevent infection.
  2. During the tour, please wear a mask and cooperate with cough etiquette.
  3. If you have any symptoms such as fever, malaise, dyspnea, or abnormal taste or smell, please quit the admission.
  4. Hand sanitizers are installed in various places in the building. Please use it.
  5. When observing the building and exhibition structures, please keep a sufficient distance from other customers and, when it is crowded, please make concessions to view and cooperate.
Please note that if any behavior or behavior that causes significant anxiety to other customers is confirmed, we will refuse to enter or visit the facility.

In addition, in the exhibition,
  1. We have stopped using the hands-on exhibits (experience of wearing prisoners' clothes, experience of attaching weights to legs, etc.) and have removed them.
  2. In the video exhibitions (History Museum "Forests where men in red prisoners' clothes were there", Government building "Prison chief talks about history", etc.), the number of chairs at the video viewing position was reduced and the foot mark Is installed.
  3. The museum guided tour is suspended to prevent infection.
The "Museum Shop" and "Prison Restaurant" are taking the following measures.
  1. Nylon curtain and acrylic shield are installed on the counter.
  2. The number of seats in the prison cafeteria has been reduced to half, which is the usual 30 seats, to avoid congestion.
  3. The number of seats is also decreasing at the rest area of ​​the Government Building Museum Shop.
We kindly ask for your understanding and cooperation so that all customers can visit Museum Abashiri Prison with peace of mind.

2020年5月18日月曜日

大掃除

「体感シアター」

臨時休館から30日目を迎えました。今日は歴史館展示のメインである「赫い囚徒の森」
体感シアターの大掃除をしました。体感シアターとは、130年前の網走監獄による中央道路開削工事の様子を7分間で上映しているシアターですが、このシアターは強化ガラスのステージに3面紗幕のワイドスクリーン、立体造形物を配置しプロジェクターで投影する内容でまさに見学者に体感していただくものです。開館時は人気のシアターで常に来館者で賑わっているコーナです。休館中や閉館後の夜間しか掃除ができないことが悩みでしたが、久しぶりに紗幕の埃を払い、ガラスを拭き、人形など掃除機をかけました。綺麗になった体感シアター。館内の展示棟全て、大掃除しましたので歴史を重ねた文化財ですが、衛生的な館内で安心してご見学いただけます。開館した際は、ぜひご来館していただきたいと願いつつ、毎日準備を進めています。




2020年5月17日日曜日

【緊急のお知らせです:博物館網走監獄は臨時休館中です。】




本日、網走市内に配布された情報紙「マイタウンあばしり天都山」に博物館網走監獄が16日から開館との記事が掲載されていますが、臨時休館は継続中です。5月初旬時点での情報で記事が作成された模様です。
現在は見学はできません。ご注意ください。

2020年5月15日金曜日

臨時閉館期間の再延長について


新型コロナウイルス蔓延防止対策としての博物館網走監獄の臨時閉館再延長
(当面の間)について

514日、政府より新型コロナウイルス特別措置法に基づいての緊急事態見直しが行われましたが北海道は解除対象地域とはならず、同日北海道より蔓延防止対策として施設休業の再要請が531日まで延長が行われました。このことに併せて、博物館網走監獄の臨時閉館期間を延長することといたしました。
閉館期間は当面の間とし、新たな再開館日は、521日に国が行う北海道の緊急事態状況の再検討の結果を踏まえて決定することとします。
急なお知らせとなりましたが、ウイルス蔓延防止に協力するため閉館再延長を決定いたしました。ご理解とご協力よろしくお願い申し上げます。

なおこの期間、博物館施設を閉鎖しますが、事務局は(900~1600)業務を行いますのでご連絡は、公益財団法人網走監獄保存財団事務局:電話0152-45-2411番までお願いいたします。

2020年5月13日水曜日

農園体験ワークショップ

「農園体験ワークショップ」

もう20年続けている「農園体験ワークショップ」をコロナウイルスの影響で今年は中止とさせていただきました。しかし畑を1年間放置すると荒れてしまうので、学芸チームで
(とうもろこし)と(じゃがいも)の種を蒔きました。じゃがいもは(北あかり)と(男爵)です。
5/11日に蒔いたので、8月末か9月上旬には、収穫の時を迎えられるだろうと思います。
この農園体験ワークショップを博物館で始めたきっかけは、網走刑務所が日本一の耕作面積と収穫量を誇る農園刑務所だからです。網走刑務所二見ケ岡農場は現在もカボチャや
人参、じゃがいも、小豆を収穫しています。明治から昭和30年代までは、収穫した小豆やイナキビを団子や餅にして収穫祭を催していました。受刑者は一年に一度の甘いご馳走が食べられる収穫祭を楽しみに農作業に励んでいたそうです。
大正時代に日本の刑務所で初めて自立更生を促す段階的処遇を導入した先導施設でもあります。これらの歴史を紹介するうえで、博物館で農園体験ワークショップを開催し、昔の農機具に触れてみる、種蒔きから収穫、加工まで一連の自給自足を体験する連続講座を行ってきました。今年の9月に、博物館での収穫祭が実施出来る事を願いつつ種蒔きに勤しみました。収穫祭実施の際は、来館者に博物館の畑で育てた、ジャガバター、焼きトウモロコシを振る舞いますので4ケ月後楽しみにしていてください。



2020年5月5日火曜日

臨時閉館期間の延長について


新型コロナウイルス蔓延防止対策としての緊急事態宣言期間延長に伴う博物館網走監獄の臨時閉館延長(5月15日まで)について
5月4日、政府より新型コロナウイルス特別措置法に基づいて緊急事態宣言期間5月31日までの延長が全国に発令されたこと、北海道より施設等の休業要請期間5月15日までの延長が指示されたこと併せて、博物館網走監獄の臨時閉館期間を延長することといたしました。
閉館期間は、当初の5月6日までを5月15日金曜日まで延長し、5月16日土曜日より開館いたします。
急なお知らせとなりましたが、ウイルス蔓延防止に協力するため閉館延長を決定いたしました。ご理解とご協力よろしくお願い申し上げます。

博物館網走監獄に隣接している『監獄食堂』も同期間、休業延長といたします。
同じく博物館に隣接するテナント売店「吉村みやげ店」「観光サービス」「マリン北海道:網走監獄店」の3店舗も、同期間北海道による休業要請に協力し休業延長することとなりました。
併せてお知らせいたします。
なおこの期間、博物館施設を閉鎖しますが、事務局は(9:00~16:00)業務を行いますのでご連絡は、公益財団法人網走監獄保存財団事務局:電話0152-45-2411番までお願いいたします。

2020年5月2日土曜日

博物館のお仕事

「支障木の伐採」

開館から37年、年中無休で開館し続けてきた博物館ですが、このコロナウイルスの影響で4/18日より臨時休館を余儀なくされています。しかし休館中も仕事は沢山あります。開館当時に植えた樹木、例えばもうすぐ咲きそうな桜は、私達の心を和ませてくれますが一方では大木になり重要文化財建造物に支障をきたす状態になっているものもあります。木造建造物の周りは出来る限り空間を設け、火災のリスクを減らすように日々心掛けています。そういう訳で、今日は開館当初からお世話になっている造園会社の職人さんに依頼し館内の支障木を伐採しました。大きな重機クレーンやユニットを自在に駆使し、次々と巨木に挑む様子は、まさに職人技でした。当館は野外博物館ですので館内の環境、景観造りも力を入れています。休館中ですが博物館の様子を紹介します。
浴場と五舎房周辺の白樺を伐採しました。






2020年4月30日木曜日

博物館のお仕事

「囚人用の布団干し」

久しぶりに青空が広がった今日 日の光を待ちわびていました。
何故なら 冬期間の雪によって、展示用布団が濡れた状態になっているのとリスが胡桃を布団の中にかくすため、布団が破れていたり汚れているからです。暖かくなる4月はいつも、布団の除菌と布団干しの仕事が待っています。 30枚の布団を運び敲きながら干す作業は一苦労でしたが、日光を浴びて囚人用布団も心持、ふわふわになったような気がしています。囚人用の渋柿色の布団は明治時代に監獄法で定められた色です。中国の囚衣を模倣した色で、浅黄色(水色)の布団は大正末期から昭和初期の日本の監獄独自の色です。
明治時代は、一般人と犯罪者を明確に区別するために、渋柿色すなわち目立つ色を犯罪者の囚衣と布団に使ったのです。これら布団も当時は監獄内で縫製され作られていました。
布団の綿の量も法律で定められていたので、暖かい布団が欲しくて看守さんの目を盗み
綿の量を多くいれたりすると規則違反で懲罰が課せられたそうです。




2020年4月26日日曜日

【お知らせ『二見桜並木と古道をまもりそだてる会』より:本年の桜並木公開は実施しません。】


平成3年より、当会が桜並木敷地所有者である網走刑務所にお願いし桜開花時期に実施していた桜並木の公開は、本年は実施したしません。新型コロナウイルス蔓延防止対策に併せて実施を見送ることとしました。ご理解とご協力お願い申し上げます。
桜並木は網走刑務所敷地内となりますので、許可を得ずに敷地内に侵入することは許されません。ご注意ください。
令和2年4月26日
『二見桜並木と古道をまもりそだてる会』事務局

2020年4月24日金曜日

博物館のお仕事

「農園作業の展示準備」
現在博物館は休館中なのですが、私たち職員は普段通り仕事をしています。
開館した時に、いつもの監獄博物館の状態にするためにたくさん準備があります。
今日は、春の季節に行う展示作業について紹介します。
網走刑務所は日本一の耕作面積を有する農園刑務所です。それは明治29年から現在まで変わっていません。網走刑務所二見ケ岡農場の受刑者は、農作業に和牛の飼育と毎日作業にいそしんでいます。そんな様子を博物館でも野外展示で演出しています。春から秋まで皆様にご覧頂いている農園作業の展示人形を冬が来る前にしまっていますので、今日その人形たちと農耕馬を学芸員と管理チームで展示しました。お馬さんのバランスを取るのに大変苦労しましたがなんとか上手く展示できました。5月には、この囚人人形の前に緑肥ひまわりの種を播きます。7月にはひまわり畑の中のリアルナ人形が皆様の目を楽しませてくれるはずです。是非、コロナウイルスが終息した際いには博物館に来て確かめて下さい。



2020年4月17日金曜日

【緊急のお知らせ:新型コロナウイルス蔓延防止対策としての博物館網走監獄の臨時閉館について 2020.4.17】


4月16日、政府より新型コロナウイルス特別措置法に基づいて緊急事態宣言が全国に発令されたことに併せて、博物館網走監獄の臨時閉館を実施することといたしました。
期間は、4月18日土曜日から5月6日水曜日までとします。
急なお知らせとなりましたが、これ以上のウイルス蔓延防止に協力するため、閉館を決定いたしました。
ご理解とご協力よろしくお願い申し上げます。


博物館網走監獄に隣接している『監獄食堂』も同期間、休業といたします。
同じく博物館に隣接するテナント売店「吉村みやげ店」「観光サービス」「マリン北海道:網走監獄店」の3店舗も、同期間北海道による休業要請に協力し休業することとなりました。
併せてお知らせいたします。
なおこの期間、博物館施設を閉鎖しますが、事務局は通常の時間(9:00~17:00)業務を行いますのでご連絡は、公益財団法人網走監獄保存財団事務局:電話0152-45-2411番までお願いいたします。

2020年4月14日火曜日

学芸員の解説情報7

「網走監獄教誨堂」
前回は教誨の起源について解説しましたので、今回は教誨堂の建築についての情報です。
明治42年8月26日に司法省金子馨技師が設計し、明治45年3月19日に落成した教誨堂は、広島県の藤原熊吉棟梁と群馬県の町田里平棟梁による落成棟札が残されています。網走監獄の建造物の中でも教誨堂は最もデザイン性に優れている建物ですので、当博物館に移築するさいに棟札が発見されました。軒先を大きく反った入母屋瓦葺き屋根、大棟の鬼瓦、妻を飾る懸魚(火から木造建造物を護る意味)などの和風の意匠と下見板張りの外壁や半円アーチのペデイメントを付けた飾り笠木を持つ欄間付き上げ下げ窓の洋風意匠とが併存しつつ調和する和洋折衷の建築です。内部は、正面に床面から730mm高くして講壇を置き、講壇上には須弥壇を構え、左右の前室入口に尖頭アーチ形の欄間付ドアを建て込んでいます。左右の壁には縦長洋風押上窓を設けています。5,165m高の天井には植物文様の天井中心飾りが吊り下げられ、大きな一室空間を引き締める重要な要素となっています。
大工作業の人工として働いた受刑者たちは、「神仏の魂が宿る場所だから」と精魂こめて作ったと言い伝えられている網走監獄教誨堂は、実に美しい建築美を醸し出しています。
教誨堂内部


2020年4月12日日曜日

【お知らせ:博物館網走監獄5月からの開館時間について】



博物館網走監獄の5月、6月の開館時間についてお知らせします。
例年、5月1日より9月30日までを「夏季開館時間」として、午前8時30分開館、午後6時閉館とし開館時間の延長を行ってまいりました。
しかし、本年は現在国内で発生状態が続いている新型コロナウイルス蔓延防止対策として博物館施設内の衛生対策を行う必要があり、万全な衛生体制を維持するためには開館時間の延長が困難であるという結論に達しました。
そこで本年に限り、5月からの開館時間延長を行わず、開館時間午前9時、閉館時間午後5時(最終入館締め切りは閉館時間の1時間前)の開館体制を6月30日まで維持継続することとします。
7月からの開館時間については6月中旬時点で判断をする予定としています。
ご理解、ご協力よろしくお願い申し上げます。
令和2年(2020年)4月13日
公益財団法人網走監獄保存財団/博物館網走監獄

2020年4月10日金曜日

学芸員の解説情報6

「網走監獄の教誨堂」

明治45年に完成した網走監獄の教誨堂について、建築的特徴について解説する前に教誨という制度についてご紹介します。「教誨」という用語は、聞き慣れないかと思いますが、その字義は「教」は「おしえならわせる」「誨」は「おしえさとす」とあり、本来は仏教用語です。そのような意味合いの言葉として監獄の中で初めて明治時代に使われました。我が国における教誨の発祥は石川島人足寄場で部外者が寄場を訪れ心学や論語を説話した史実があり、これを教誨の萌芽とする見方があります。
監獄における本格的な精神的訓話が始められたのは明治5年「監獄則」が制定された年です。名古屋で真言宗大谷派僧侶鵜飼啓譚が、東京で同派箕輪対岳が教誨を行っており、これが我が国における篤志による教誨師の創始とされています。
その後、明治14年に制度化され、監獄職員として教誨師が採用されるようになりました。その後、仏教とキリスト教の宗教対立があり、職員としての教誨師制度から、現在は篤志による教誨となり刑務所所在地にいらっしゃる宗教家の好意により受刑者の希望する宗教の教誨が受けられるようになってきました。
網走監獄の初代教誨師は、明治27年キリスト教誨師、阿部正恒氏が赴任して受刑者の教誨をおこないました。
網走監獄教誨堂


2020年4月4日土曜日

学芸員の解説情報5

網走監獄煉瓦の正門

前回に引き続き煉瓦建築について、今回は正門をご紹介します。
網走監獄の正門が木造か現在の煉瓦製になったのは大正時代です。網走監獄正門は大正8年から取り掛かり150万枚の煉瓦を焼き、1080mの長さで監獄施設を囲み完成したのは大正13年です。

開設から3代目の正門になります。
実に5年の年月をかけて築き上げたのです。監獄建築には機能性と管理側の思想が反映されていると言われています。正門は市民が一番先に目にする監獄建築です。その上で正門が具現化しているものは権威と象徴でした。

機能的には外部からの侵入攻撃を守るという意味から頑丈に造られています。また管理的には囚人が逃走できないように正門や塀の高さは監獄法で決められています。網走監獄の門と塀は4.5mの高さがあります。成人の肩にもう一人が乗ったとしても乗り越えられない高さが4.5mとの判断なようです。

デザイン性においては、建築家後藤慶二が大正4年に設計した「旧豊多摩監獄正門」と類似します。後藤慶二は、司法省の営繕技師建築家で、明治時代に活躍した山下啓次郎氏の後輩として大正期の監獄を設計しました。彼の装飾性の排除や合理的設計手法の導入などが積極的に獄舎設計に向けられ、豊多摩監獄の正門は、将棋駒型表門と称される屋根の形状が網走監獄煉瓦の正門と類似してるといっても過言ではないでしょう。高名な建築家のデザインを網走の担当技官も模倣したのではないでしょうか。
画像解説
上部の豊多摩監獄正門と類似しています。この正門の屋根の形態はキャンブレル形式といって二面切妻二段勾配屋根になっています。18世紀に英国や欧州から米国に伝承したものを取り入れて後藤がデザインしたものです。明治期の表現主義から昭和の合理主義建築への移行過程にある姿を示した事例として明治と昭和を結ぶ大正建築として希少な監獄建築です。

2020年4月3日金曜日

学芸員の解説情報4

網走監獄煉瓦造り独居房
(懲罰房)

博物館の中には煉瓦の建物が6棟あります。明治の監獄建築を25棟移築復原再現している博物館の中に6棟の煉瓦建築があります。

なぜでしょうか?

実は、明治時代の監獄は西欧の監獄を模倣し煉瓦の製造を囚人たちに指導し、監獄の中で煉瓦を焼いていました。焼き上げた煉瓦は囚人作業により積み上げ、監獄の塀、獄舎、独居房など多用しました。従来の監獄建造物は木造で火災に弱いので煉瓦建築を導入することで火災から囚人を守る意味もありました。

網走監獄では、明治27年に煉瓦製造を始めています。ここに紹介する独居房は明治45年に完成し昭和の初めまで使用された懲罰専用の独房で登録有形文化財に登録されています。独居房には窓がなく、扉は二重、しかも煉瓦壁の厚さ40センチと暗く圧迫感と閉塞感を感じさせる独居房ですが、屋根は瓦を葺いています。いかにも和洋折衷です。囚人たちにとっては恐怖を感じる建物でした。規則違反者を独居房に入れ反省させる房ですので泣き叫んでも暴れても囚人の声は外に漏れないのです。

懲罰専用の煉瓦造り独居房が残されているのは網走監獄だけです。

2020年3月31日火曜日

学芸員の解説情報3

網走監獄の中央見張り所

網走監獄の舎房は五棟の放射状に配置されています。この形式はベルギーのルーヴアン監獄を模倣して従来の並列型獄舎から放射状配置の舎房に建て替えました。放射状舎房の要になるのが、五棟の入り口中心に設置された八角形の中央見張り所です。

網走監獄の舎房は雑居房146房独居房80房、合計226房収容定員700名ですが、多い時には最大で1000名を超える囚人を収容していました。大勢を効率よく管理するために、この中央見張り所が考え出されました。中央見張り所に看守部長が就き、看守部長の指揮のもと各棟の廊下に担当看守1名が巡回するのみで大勢を管理できる仕組みです。

監獄の建造物はまず第一に逃走防止、大勢を管理する集合性、機能性が求められて建築されています。一般家庭のように快適性を求めて建築されていません。むしろ逆の発想です。中央見張り所を中心に放射状に配置される獄舎はフランス、ベルギーなど西欧において主流でした。この画期的な方法を日本の監獄建築に取り入れて北海道集治監や網走監獄の放射状舎房が誕生しました。

2020年3月30日月曜日

学芸員の解説情報2

網走監獄舎房の天窓

明治45年に再建された網走監獄舎房は、江戸時代の牢屋敷から脱却し欧米列強と肩を並べられるようにと司法省の技師が海外視察を重ね、近代国家日本の監獄に相応しい獄舎建設を推進したものです。和洋折衷の建築の中でも天窓は最たるものです。

  1. 高さ7.4mの屋根に取り入れた天窓ガラスは厚さ7mmそして鉄線が施されています。
  2. 天窓を通して光が差し込みます。
  3. 暗い牢屋敷から明るい舎房へ受刑者の心情にも配慮されています。
  4. 天窓を取り入れるためクイーンポストトラス(洋小屋組み)にしています。
  5. 小屋組みに強度を持たせるため鉄筋の開き止めが施され建築美を醸し出しています。

2020年3月28日土曜日

学芸員の解説情報1

コロナウイルスの影響で博物館網走監獄は、解説員による無料ガイドツアーを今しばらく中止させて頂きます。

それでも毎日来館してくださる見学者の方、またお家でホームページをご覧頂いている方に少しでも監獄建造物の特徴を知って頂きたいので、学芸員が解説する建物の情報を少しずつご紹介します。

第1回目は「網走監獄舎房の錠」についてです。

監獄建築は一般建築と基本的に違う構造ですが、一番違部分はといえるでしょう。
その特徴は、
  1. 監獄内で自家製造していること
  2. 仮締まり及び施錠状態を目視確認できること
  3. 自動仮締まりにできること
  4. シンプルで壊れにくく監獄内で修理できること。何より、逃走の危険性を排除し看守の負担を軽減するようになっています。



2020年2月28日金曜日

【お知らせ:博物館網走監獄ガイドツアー休止について】



新型コロナウイルス蔓延防止対策として、実施中のガイドツアーをしばらくの期間、休止することとしました。
ご理解、ご協力をお願い申し上げます。

2020年2月25日火曜日

歴史館の体験コーナー中止について

 博物館網走監獄歴史館内の体験コーナーについて
 新型コロナウイルス予防措置として、編笠、囚衣の体験をしばらく
 中止することにしました。ご理解のほどお願い宜しくお願いいたします。

看守長屋の年中行事及び桜餅作りワークショップの中止について

 これから予定している博物館の行事 3月1日 「桜餅作りワークショップ」と
 3月3日の「お雛様イベント」を中止させて頂きます。
 新型コロナウィルスの予防のため、人が集う行事は避け防ぎたいとの思いからです。
 どうぞご理解いただきますようお願い申し上げます。

2020年1月31日金曜日

企画展

明日から歴史館1階で「博物館網走監獄収蔵品」展を開催します。
網走市嘉多山地区の皆様から寄贈を受けた農機具や民具が主な資料です。
懐かしい資料をぜひご覧頂きたいと思います。

2020年1月30日木曜日

網走刑務所被収容者への図書寄贈

 本日、網走刑務所の被収容者へ、博物館より図書約100冊の寄贈を行いました。
網走刑務所の収容者は現在800名ほど収容されておりますが、彼らは資格をとるために本を読む、娯楽時間に本を読むなどいくら本があっても足りません。そして本も傷むので刑務官の方々が修理しながら読ませているのが現状です。博物館では、矯正教育に少しでも役立ててほしいとの思いから、約30年間網走刑務所被収容者に些少ですが図書を寄贈しています。本を通じて、彼らの更生に繋がっていくことを願うばかりです。