1912年、明治が終わろうとしていたとき。
北辺の地、網走に巨大な木造建築物が姿を現した。
鬱蒼とした原始林に聳える大木を赫い獄衣の男達が伐倒し材として組上げた巨大な檻だ。
どれだけか多くの獄囚を収監し、時代の流れを見つめ続けたのか。
それから一世紀、百年の時が過ぎた。
厳しい風雪に耐え未だ、その建物は存在し続けていた。
三十年前より博物館に生まれ変わっていたが。
建物は静かにそこに佇み、旅人を迎え入れていた。
百年前に刻まれ、磨き続かれた木肌、錆びつつも決して朽ちることはない頑強さを見せる鋼の格子。
建物は沈黙を守るが、その巨大な檻を構成する材一つ一つが過ごしてきた時代(とき)を語る。
2012年 博物館網走監獄 五翼放射状平屋舎房 建築から百年が経過した。
2012年 平成24年は、いろんなことが重なる年になります。
博物館は30年目を迎え、財団は新しい制度上の公益法人に生まれ変わろうとしています。
そして明治45年建造の旧網走刑務所建築物は、建設から100年となるのです。
現在、博物館ではこの旧建築物の文化財としての価値観や建築物としての美しさを表現する写真集を制作しています。
撮影は、2年前から館内リーフレット、誘致用パンフレットなどでお付き合いの始まった写真家の並木さんにお願いをしました。
並木さんは一年以上の時間をかけて網走監獄の建物に対峙し素敵な写真を撮ってくれました。
今日のブログに使った写真は、この写真集に使われるものです。
舎房は冬が似合います!
刊行は2012年春を予定しています。
楽しみにお待ちください。