2011年6月16日木曜日

修学旅行・・

連日、館内から元気な声が聞こえています。
道央圏(札幌、室蘭、苫小牧等)の中学生たちです。
5~6月は修学旅行利用が続きます。
当館は、今年、8000人くらいの中学生受入れとなるようです。
多い日は1日に3校も利用がある日もあります。
3月の震災以降、当館は利用者減少が続いていましたので、正直なところ助かってます。

道央のほとんどの中学校の修学旅行は、東北方面で実施されていたものです。
3.11の東北大震災の影響で急きょ、コースが変更となり、多くの学校が北海道内に行先を求めました。


実は昭和50年代ぐらいまで、道央圏の中学の修学旅行の多くは、道東方面で実施されていたのです。
その後、青函トンネルが開通し、東北新幹線もどんどんと北へと延伸、交通の利便が大きく変わり、東北方面への修学旅行が一般的になりました。

数年前まで、何とか札幌・道央圏の中学にもう一度、道東での修学旅行実施を!との動きがありました。
当館も、誘致活動に積極的に参加していました。行政、民間が一体になって、修学旅行を担当する学校の先生たちや、企画や手配をする旅行代理店の担当者の方に網走まで来てもらう機会を作ったり、様々な体験メニューをそろえたパンフレットを制作して配ったりと様々な活動を続けたのですがなかなか、流れを変えることはできませんでした。
そういった意味では、震災の影響とはいえ、今年は大きなチャンスをいただけたと思っています。

来年は、ほとんどの学校が東北への修学旅行に戻っていくのだろうとは思います。
東北を訪れることの意味は、経済的なことを含めて大きいですし。

そういう点は踏まえて、やはり、学校単位で何とか利用を続けてもらえないかなあと考えます。

道東・オホーツク域には北海道で唯一の世界自然遺産『知床』があります。
北海道は全体に自然豊かな場所ですが、中でも知床は手つかずの厳しい自然の姿を感じることができる特別な場所です。
もちろん、当館は、見学をしていただくことで、北海道開拓の歴史を十分に学んでいただける施設であるとの自負も、ほんのちょっぴりあるのです。
札幌から網走へ向けて走るルートは、一部が高規格道路へと大きく姿を変えていますが120年も前に網走監獄の囚人たちを使って開削を進めた『道』でもあります。
道東・オホーツク域での修学旅行は歴史と自然、両方を学んでもらえる場所だと思っています。

でも、今一番大事に考えなくてはいけないのは、東北に修学旅行に行くことを楽しみにしていた中学生たちのことでしょうね。
今年は、東北新幹線がついに青森まで開通した年でもあります。乗ってみたかったでしょうね。
修学旅行って学生生活の中で、大事な思い出づくりの機会ですしね。

彼らに、いかに楽しんでもらいながらも、しっかりと当館が伝えるべきことを伝えるか。
館では、何年も前から、本州からの修学旅行や地元の小中学生たちに様々な体験をしてもらえるよう「レンガ造り」「豆わらじ作り」「監獄食体験」など、いくつかのプログラムを作り実施してきています。
このプログラムにも、短い時間で体験ができるよう、今年は、細かな点にマイナーチェンジを加えています。
解説を担当する係は、駐車場からバスが出発するときに見送りをすることにしました。
売店では、「ちょっとした網走のお土産」を一品だけプレゼントすることを始めました。

今、網走を訪れ、当館を見学に来ていただいている彼らにどんな思い出づくりの機会を与えることができるのか。
来年以降、この修学旅行のうち、何校かが残っていただけるのか。今が、最大のプレゼンの機会なのだと思います。
彼らに何を感じてもらえるのか、何を思い出にしてくれるのか。精一杯の対応を続けたいと思っています。