2014年5月7日水曜日

『幻の桜並木』

5/12 追記
2014年度の桜並木一般公開を昨日、無事に終了できました。
5/10は、低温、霧雨、桜も三分先程度の開花状況であったにも拘らず、56名の方が。そして快晴と気温上昇により、殆どの桜が満開に近い状況に開いた今日5/11は850名!、両日合わせて900名以上の方が並木を見に来てくれました。地元の方が多かったのですが、旭川や帯広からお見えになった方もいらっしゃいました。本当にありがとうございました。


今年も網走刑務所の協力により『幻の桜並木』とも呼ばれている二見の桜並木の一般公開を行えることになりました。

刑務所用地内ですので、ルールを守って桜を楽しみましょう。
・公開日 平成26510(土曜日)11日(日曜日) 
・時 間 共に午前10時から午後3時まで。これ以外の時間は並木入口側が施錠されます。入口に係がいますので指示に従ってください。

国道238号と道道網走端野線の交差点から徒歩で入ることができます。刑務所敷地内での喫煙、飲酒は禁止。トイレ、ごみ箱はありません。ごみは各自でお持ち帰りください。

桜並木は、明治24年(1890年)に完成した北海道中央道路に連結する刑務所用地内から網走湖北岸を通る道沿い(現・道道104号網走端野線)に植えられたものです。大正2年(1913年)、今から100年前、当時の網走監獄二見ケ岡支所長「千葉啓次郎」が道沿いに桜を植樹することに着手しました。この時点で、網走湖南岸に通行の容易な新道と鉄道が完成しており、多くの犠牲を払って開通した中央道路の交通量は激減、道は荒んでいたそうです。
桜並木作りが何を目的としたものかは記録として残されていませんが、最終的に移植された総数は2,000本に  達したといわれています。桜の少ない道東地区において、当時その規模は最大とも言われ、地元住民にも『二見の桜並木』と親しまれていましたし、かつては刑務所内の行事として囚人たちに桜を楽しませたこともあります。
しかし昭和29年に端野嘉多山線が道道に認定後、再び交通量が増加、昭和31年より改良工事が始まり徐々に桜は伐採されることとなり、遂には昭和58年からの大規模な改良工事により、湖側の桜並木の大半が失われ刑務所敷地内の桜並木だけが残ることとなりました。

・桜並木保存について(『二見桜並木と古道をまもりそだてる会』の発足)
 『二見の桜並木』は、単なる景観ではありません。120年前の網走監獄・網走刑務所設置の事由であった北海道中央道路の痕跡を伝える貴重な歴史指標といえるものです。5月に桜が咲くとき、10月に桜が紅葉するとき、一本の桜色の、紅色の線となり、かつてそこに存在した道の存在を思い起こさせてくれます。
今から10年ほど前、二見地区の皆さんが桜並木内での観桜会開催を行い、その後「網走歴史の会」が引き継ぐ形で「二見桜並木を歩く会」を企画、実施されていました。しかし、老齢化したエゾヤマザクラは樹勢も弱り始め、倒木、枯木も目立ってきました。このような状況から並木の保全を求める声が生まれてきたのです。
網走刑務所が設置され中央道路開削工事が行われてから120年を迎えた平成22年(201010月、博物館網走監獄が、刑務所設置100年の平成2年(1990)に当時の刑務所職員有志によって敷地内に記念植樹された桜40本を並木内に移植しました。この作業に、網走歴史の会会員、二見地区住民の皆さんも参加されたことから保存を目的とした 協議会設置の機運が高まり、平成23年(20113月網走歴史の会、網走市二見ヶ岡区会、財団法人網走監獄保存財団、博物館網走監獄友の会、網走刑務所職員有志の5団体による『網走刑務所に協力をし、桜並木の保全、維持活動などを行う緩やかな協議会』形式での団体設立となりました。同年5月より、昨年まで3回の植樹、秋の草刈りなどの維持作業、開花期の一般公開企画等を行っています。