この講演会は昨年(2012年)、当館にて保存している旧網走刑務所建造物7棟が国登録有形文化財に認定され、先に登録されていた「五翼放射状平屋舎房」「教誨堂」「二見農場建造物群」と併せて、移築保存した建造物10棟全てが国登録有形文化財になったことを記念して行うものなのです。
これが登録有形文化財であることを証するプレート。
実物は管理棟で保存しています。建物にはレプリカ(複製)のプレートを取り付けています。
登録文化財の申請を行ったのは2011年でした。
前年、2010年より当館は館内に保存している「歴史的建築物群保存調査」に取り組みました。
民間の素人集団による運営の悲しさ、移築時にきっちりと調査を行っていない建物も多かったので今後も保存していくために図面の整備をしようという事業です。
この調査時に指導をお願いしたのが、今回講演をしていただける角幸博先生をはじめとする専門家の方たちでした。
写真は1回目の調査作業。「煉瓦造り独居房」の実測調査の様子です。
独居房に向かってカメラを向けているジーンズ姿の男性が角先生。
周りにいる作業服姿の人たちが実際に調査を担当した地元建築業者の皆さん。
調査作業は、指導をお願いした角先生(当時北大工学院教授)、下村先生(当時北海道工業大学教授)、小林先生(当時北海道開拓記念館学芸副館長)から「この作業は、札幌や道外の専門の設計業者に頼む方法もあるが、できれば今後もこの建物の営繕や維持作業に関わっていく地元の建築業者、それも若い世代の人たちがなるべく多く関われる機会として行ってはいかがだろうか」という助言のもと、地元の複数の建築業者さんによる共同事業体を受け皿にした作業委託を行うことになったのです。
2年の時間をかけて、現存する図面の整理。必要な実測調査、資料のデジタル化などを進めて館内に保存している移築建造物、再現建造物の図面整備、今後の歴史的建造物の保存方法についての指導を受けながら作業を進めました。
この作業の中で角先生より「移築建造物10棟中、大きな建造物3棟のみが国登録有形文化財に登録されているが、残りの7棟についても十分にその資格を有する貴重な歴史的建造物であるので登録申請を進めてはどうだろうか」とご意見を頂きました。調査により申請に必要なしっかりした実測図面も完成したこともあり、7棟の申請を行うことにしたのです。
私たちは「建物としては大きくない」「内装まで再建できなかった」「一部しか保存できていない」などの理由から申請を行っていなかったのですが、そういうことではなかったわけです。
そして「小さい」と思っていた「煉瓦造独居房」は、逆に当時の姿を最も残している貴重な建造物であると評価を受けました。
移築を行った昭和60年当時、非常に厳しい財政状況から移築は行ったものの内装の再建を見送った「庁舎」も明治時代の官庁建築様式の大事な部分は保存されていることが認められました。
「哨舎」は4棟ありますが、その小ささから登録はできないのかと思っていたもののしっかりと認めていただいたのです。
そして「裏門」、門塀のほんの一部しかないし‥と思っていたのですが、これもしっかり。
10/20の講演会は、最初の45分間は『まなびや館』を会場に角先生からお話を伺い、後半45分は博物館内の歴史的建造物について実際に見学しながら角先生の解説を聞くという大変に豪華な内容になりました。
私も楽しみです!
まだ席には余裕があります。
お申し込みは、下記までよろしくお願いいたします。
◆日時 平成25年10月20日(日曜日)午前11時から午後0時30分まで
◆会場 博物館網走監獄「まなびや館」(網走市呼人1番地の1)
◆参加料 無料
◆申込方法 電話・FAX・メールで事前申込が必要
定員100名(定員になり次第締切)
◆申込先 博物館網走監獄事務局
◆電話 0152-45-2411 FAX 0152-45-2338 ◆Eメール info@kangoku.jp