2014年5月17日土曜日

百年先へ

5月17日、『二見桜並木と古道をまもりそだてる会』が、今年も並木への桜苗木の植樹作業を行いました。
オホーツク海で猛発達した(970hp台です!)低気圧の影響で気温2℃台、風速10m/s以上という悪条件の中での作業になりましたが、25名の会員が集まり15本のエゾヤマザクラを並木の欠けている部分に補植しました。
写真を見てもらうと、相当風の強い中での作業だったことがわかるのでは。

桜並木は、明治24年(1890年)に完成した北海道中央道路に連結する刑務所用地内から網走湖北岸を通る道沿い(現・道道104号網走端野線)に植えられたものです。大正2年(1913年)、今から100年前、当時の網走監獄二見ケ岡支所長「千葉啓次郎」が道沿いに桜を植樹することに着手しました。この時点で、網走湖南岸に通行の容易な新道と鉄道が完成しており、多くの犠牲を払って開通した中央道路の交通量は激減、道は荒んでいたそうです。桜並木作りが何を目的としたものかは記録として残されていませんが、最終的に移植された総数は2,000本に達したといわれています。
一説には、通行量が減り人々の記憶から中央道路が忘れられることを防ぐために桜並木を造成しようとしたのでは・・とも言われています。道路工事は200人以上の囚人、監獄職員が犠牲になり行われたことは、20数年しか過ぎていなかった当時の監獄に関わる人たちの中には強烈な記憶であったでしょう。
しかし、それから更に100年の時間が過ぎ、桜並木の桜たちは次々と寿命を迎え、枯れ、朽ち果てようとしています。
中央道路と網走監獄の物語を物言わず語り継ぐ桜並木。
まもりそだてる会は、二見農場のある網走市二見地区の住民の皆さん、網走刑務所職員有志の皆さん、網走歴史の会の皆さん、博物館網走監獄友の会会員の皆さん、そして当館が作った桜並木を今後も維持していこうという気持ちを持つものたちの協議会組織です。
大きな仕事はできませんが毎年少しずつでも並木への植樹や除草などの維持活動をし続けようと考えながら活動を続けています。
 
今年植えた15本を加えても1.2kmの並木の桜の数は215本。まだまだスカスカです。そして、今年も何本か老木の弱り方が著しいものもありました。
今、会が植えている桜は凡そ15年生のもの。きれいに咲きそろうには5年ぐらいかかります。老木たちと同じ大きさに見える前には何十年も待たなくてはいけないでしょう。
それでも、この活動を続けていけばきっと百年先の人たちも、この桜並木を見ることができ、そして中央道路の物語に気づいてくれるのではないか。そう信じて活動を続けていきたいと思います。