2013年10月21日月曜日

中が見れなかったり‥

中が見れないのは、旧網走刑務所庁舎【国登録有形文化財】。
今週末より、内装改修工事に取り掛かるため10月21日より内部展示公開を中止しました。
移築を行ったのは昭和60年。自主自立の精神で民間による財団法人を創設、博物館網走監獄の運営を進めてきた当財団が財政で一番苦しい時期の移築保存物件。
明治時代の官庁建築の特徴を色濃く残す外観の再現に作業を集中せざるを得なかったこともあり、内部は結構ギリギリな状態での再現工事を行ったものです。トイレや内部の壁材に改修が必要な状況が続いていたため、今年度思い切って着手。
工事完了は年明け2014年1月を予定しています。
ミュージアムショップも昨日20日でいったん閉鎖。11月より『監獄食堂』建物に仮店舗を設置し営業を再開する予定です。


一方、外観が良く見えなくなった建物も。
旧網走刑務所五翼放射状平屋舎房【国登録有形文化財】。
こちらは外側の修復作業に着手した為、足場を組んでいるので一部外壁が見えなくなっていますが、内部は通常通り公開中です。
基礎コンクリートの割れの補修、腐朽した部材(木材)の修理、交換。
屋根の再塗装などの作業を行っています。
こちらは雪が降る前に追われるよう急ピッチでの作業中です。

以上、工事関係の知らせでした。

2013年10月17日木曜日

通常通りの開館といたします。

大きな被害をもたらした台風26号は温帯低気圧と姿を替えましたが、網走は朝方まで暴風が吹き荒れました。最大瞬間風速は、昨日の午後6時ごろ25m/sだったそうです。
園地内の点検をしましたところ、施設の破損、園路をまたぐような倒木は認められませんでしたので、本日(10/17)は通常通りの午前8時からの開館といたします。
それにしても、この落葉・・

見えなかった建物が木々の間がスカスカになって見えるようになっていました。
片付けが大変そうです。

この台風の影響で北海道内のあちこちで半月からひと月ぐらい早い初雪!ということが話題になっていますが、網走はまだ雪は降っていません。
もう少し秋を楽しませてほしいですね。


2013年10月16日水曜日

10/20の講演会について

10/20に当館にて行う『登録有形文化財記念講演会』についてです。
この講演会は昨年(2012年)、当館にて保存している旧網走刑務所建造物7棟が国登録有形文化財に認定され、先に登録されていた「五翼放射状平屋舎房」「教誨堂」「二見農場建造物群」と併せて、移築保存した建造物10棟全てが国登録有形文化財になったことを記念して行うものなのです。
これが登録有形文化財であることを証するプレート。
実物は管理棟で保存しています。建物にはレプリカ(複製)のプレートを取り付けています。

登録文化財の申請を行ったのは2011年でした。
前年、2010年より当館は館内に保存している「歴史的建築物群保存調査」に取り組みました。
民間の素人集団による運営の悲しさ、移築時にきっちりと調査を行っていない建物も多かったので今後も保存していくために図面の整備をしようという事業です。
この調査時に指導をお願いしたのが、今回講演をしていただける角幸博先生をはじめとする専門家の方たちでした。

 写真は1回目の調査作業。「煉瓦造り独居房」の実測調査の様子です。
独居房に向かってカメラを向けているジーンズ姿の男性が角先生。
周りにいる作業服姿の人たちが実際に調査を担当した地元建築業者の皆さん。
調査作業は、指導をお願いした角先生(当時北大工学院教授)、下村先生(当時北海道工業大学教授)、小林先生(当時北海道開拓記念館学芸副館長)から「この作業は、札幌や道外の専門の設計業者に頼む方法もあるが、できれば今後もこの建物の営繕や維持作業に関わっていく地元の建築業者、それも若い世代の人たちがなるべく多く関われる機会として行ってはいかがだろうか」という助言のもと、地元の複数の建築業者さんによる共同事業体を受け皿にした作業委託を行うことになったのです。
2年の時間をかけて、現存する図面の整理。必要な実測調査、資料のデジタル化などを進めて館内に保存している移築建造物、再現建造物の図面整備、今後の歴史的建造物の保存方法についての指導を受けながら作業を進めました。
この作業の中で角先生より「移築建造物10棟中、大きな建造物3棟のみが国登録有形文化財に登録されているが、残りの7棟についても十分にその資格を有する貴重な歴史的建造物であるので登録申請を進めてはどうだろうか」とご意見を頂きました。調査により申請に必要なしっかりした実測図面も完成したこともあり、7棟の申請を行うことにしたのです。

私たちは「建物としては大きくない」「内装まで再建できなかった」「一部しか保存できていない」などの理由から申請を行っていなかったのですが、そういうことではなかったわけです。

そして「小さい」と思っていた「煉瓦造独居房」は、逆に当時の姿を最も残している貴重な建造物であると評価を受けました。
移築を行った昭和60年当時、非常に厳しい財政状況から移築は行ったものの内装の再建を見送った「庁舎」も明治時代の官庁建築様式の大事な部分は保存されていることが認められました。
「哨舎」は4棟ありますが、その小ささから登録はできないのかと思っていたもののしっかりと認めていただいたのです。
そして「裏門」、門塀のほんの一部しかないし‥と思っていたのですが、これもしっかり。

10/20の講演会は、最初の45分間は『まなびや館』を会場に角先生からお話を伺い、後半45分は博物館内の歴史的建造物について実際に見学しながら角先生の解説を聞くという大変に豪華な内容になりました。
私も楽しみです!

まだ席には余裕があります。
お申し込みは、下記までよろしくお願いいたします。

◆日時  平成251020日(日曜日)午前11時から午後030分まで
◆会場  博物館網走監獄「まなびや館」(網走市呼人1番地の1
◆参加料 無料
◆申込方法 電話・FAX・メールで事前申込が必要 
定員100名(定員になり次第締切)
◆申込先 博物館網走監獄事務局
◆電話 0152-45-2411 FAX 0152-45-2338 ◆Eメール info@kangoku.jp


2013年10月10日木曜日

講演会のお知らせ

昭和581983)年に開館した博物館網走監獄は、無事に開館30年を迎えることが出来ました。
30年の節目の年となった昨年、博物館で保存公開している旧網走刑務所歴史的建造物10棟すべてが国登録有形文化財となったことを記念し、今年度は博物館網走監獄:監獄歴史館特別展示室を会場に特別企画展『矯正建築の歴史展』を開催しています。(~平成253月末まで)
特別展開催に併せ、北海道内建築史の権威 角幸博先生(北海道大学名誉教授、博物館網走監獄顧問)をお招きし歴史的建造物の価値や魅力についてわかりやすくご講演をいただくこととなりました。
皆様のご参加をお待ちしています。

◆演題  『網走監獄の建築をめぐって』
◆講師  角 幸博氏(北海道大学名誉教授、博物館網走監獄顧問)
◆日時  平成251020日(日曜日)午前11時から午後030分まで
◆会場  博物館網走監獄「まなびや館」(網走市呼人1番地の1
◆参加料 無料
◆申込方法 電話・FAX・メールで事前申込が必要 
定員100名(定員になり次第締切)
◆申込先 博物館網走監獄事務局
◆電話 0152-45-2411 FAX 0152-45-2338 ◆Eメール info@kangoku.jp

講師 角幸博先生のプロフィールをご紹介します。
1947年札幌市生まれ。2012年北海道大学工学院教授退職。現在北海道大学名誉教授。札幌市文化財保護審議会会長、北海道文化財保護協会副会長などを務める。2012年、北海道内の歴史的建造物を地域資産として保存活用し、まちづくりや学術 文化の発展に寄与することを目的にNPO歴史的地域資産研究機構(NPOれきけん)を立ち上げ代表理事に就任。北海道における建築史研究の権威であり、網走にも多数の作品(網走市立郷土博物館など)を残した建築家・田上義也研究者としても知られている。2012年春より公益財団法人網走監獄保存財団顧問に就任。